関節リウマチとは

関節リウマチ画像

膠原病という自己免疫の異常によって生じる病気のなかの一つで、主に全身の関節に炎症が起き、それに伴って腫れや痛み、さらに進行すると関節破壊や変形による機能障害をきたしていました。しかし近年、膠原病の中で関節リウマチの治療がもっとも進歩しました。1990年代に免疫抑制剤であるメトトレキサートが登場したことに始まり2002年からは炎症性サイトカインを遮断する生物学的製剤(抗TNFα抗体、抗IL-6抗体、T細胞抑制)にて関節破壊を抑え、臨床的寛解(治療の欄参照)と呼ばれる状態まで改善する方も増えています。2013年にはさらにサイトカインの合成経路を標的とした分子標的薬JAK阻害剤も加わり、これらの治療薬は関節リウマチ以外の疾患に対しても効果が認められ幅広く使用されています。

症状・病態

関節包の内側にある滑膜などで自己免疫反応が起き、それによって炎症が発生し、その際に炎症性サイトカインが産生されるようになります。そのため関節全般に炎症が波及すると関節包の弛緩、骨の破壊が急速に進みます。関節外にも炎症が波及すると伸筋腱の断裂や皮下結節が発生します。
自己免疫反応が起きる原因は特定されていませんが、遺伝的要因や喫煙、感染などの環境要因などが考えられ、日々研究が進んでいます。

症状としては関節リウマチの旧分類基準であるACR(アメリカリウマチ学会)1987年が典型的でわかりやすいと思います。

  1. 朝のこわばり:最大の改善を見るまで1時間以上かかる
  2. 同時に3領域以上の関節炎(手指、手関節、肘、膝、足が多い)
  3. 特に手指の関節炎
  4. 左右対称性の関節炎
  5. リウマトイド結節
  6. 血液検査異常
  7. レントゲン検査で骨びらん、骨萎縮がある

ただし現在は上記の分類基準ではなく、2010年にACR分類基準がでてからそちらが診断治療の指標となっています。
関節リウマチは全身性疾患であり関節症状だけでなく、倦怠感や微熱などの全身症状もみられることがあります。血液検査では陰性でも関節炎が強く骨破壊が進む症例も見られます。上記で気になる症状があれば早期の診断を受け、そこから治療を受けることで数年先の関節破壊や変形を抑え、日常生活が支障なく送れるようにしていきます。

診断について

詳細な問診と継続的な診察が必要です。さらに関節の状態を触診や超音波検査にて調べ、他の運動器の疾患との鑑別を行なっていきます。また必要な検査として、血液検査やX線検査を行います。
他の関節痛や発熱を引き起こす疾患との鑑別が難しい場合も多く、また経年変化にて発症することも珍しくないため、継続して診察する場合があります。

治療について

臨床的寛解(病気の勢いが完全に落ち着いて関節変形の進行が止まっている状態)もしくは低疾患活動性を目指します。そのためできるだけ早期に診断をつけ治療を開始することが推奨されています。
当クリニックでは関節リウマチ治療ガイドラインに沿って治療をおこないます。

薬物治療
抗リウマチ薬(免疫調節薬、メトトレキサート等の免疫抑制薬)
生物学的製剤
分子標的薬(JAK阻害薬)
ステロイド薬、あるいはNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)
運動療法
関節の痛み、関節可動域の低下、筋力の低下がみられる場合に、理学療法(関節可動域を広げ、筋力を保持する等の運動療法、消炎や鎮痛等を目的とした物理療法)、作業療法(日常生活で必要とされる基本動作の改善 等)、装具療法(手足をサポーターで保護する、膝の装具、杖、手指のスプリント等の使用)が適応です。
手術療法
関節の変形による機能障害や薬物療法で炎症の鎮静化が得られない場合に選択されます。滑膜切除術をはじめ、人工関節置換術(肘・膝・股関節)、関節固定術などがあります。